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日本人女性の乳がん罹患率・死亡率の推移と欧米との違い【2022年版乳癌診療ガイドライン】【医師解説】|みなと横浜ウイメンズクリニック

2026.01.18


女性の部位別がん罹患数(2018年)のグラフ

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」


女性の部位別がん年齢調整死亡率(1958~2018年)のグラフ

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

日本乳癌学会の「乳癌診療ガイドライン2022年版」に記載されているデータに基づき、日本人女性における乳癌の罹患率(かかる人の割合)と死亡率の推移、欧米との違い、そしてその背景にある要因について分かりやすくお話しします。

ポイント

  • 日本では乳癌にかかる方、亡くなる方ともに増加傾向にありましたが、近年その増え方は少し落ち着いてきています。
  • 欧米では日本よりも高い数値を示してはいるものの、すでに減少や横ばいの傾向にあります。

1. 乳癌罹患率(乳癌にかかる割合)について

日本での現状と推移

乳癌は日本人女性が最もかかりやすい癌です(2018年時点で女性の癌全体の約22%)。
これまで長い間、罹患率は増加の一途をたどってきましたが、2010年頃から2015年にかけては「横ばいの傾向(増加が止まっている状態)」が見られるようになってきました。
年齢別に見ると、45歳〜69歳の間でピークを迎えます。

欧米との比較

日本人女性の乳癌罹患率は、欧米諸国に比べると約2分の1程度です。
欧米では2000年頃を境に、すでに増加から「横ばい」または「減少」傾向に転じています。日本も少し遅れて横ばいの傾向が見え始めたところです。

2. 乳癌死亡率(乳癌で亡くなる割合)について

日本での現状と推移

1960年代から長らく増加傾向にありましたが、近年(2006年〜2018年)はその増加スピードが非常に緩やかになっています。
特に40歳〜54歳の方々に限ってみると、2000年頃から減少傾向が見られます。一方で、ご高齢の方(60歳以上)では依然として増加傾向にあります。

欧米との比較

日本人女性の乳癌死亡率は、欧米諸国の約3分の2程度です。
大きな違いとして、欧米では1990年前後からすでに「減少」に転じています。日本はまだ全体として減少には転じておらず、「増加が緩やかになった」という段階にある点が異なります。

3. なぜ、乳癌にかかる人(罹患率)が増えたのか?

日本で乳癌が増加した最大の要因は、女性のライフスタイルや社会環境の変化と、それに伴う体内のホルモン環境の変化にあると考えられています。

エストロゲン(女性ホルモン)にさらされる期間の長期化

乳癌の多くは、女性ホルモンの「エストロゲン」の影響を受けて増殖します。現代の日本人女性は、昔に比べてこのホルモンにさらされる期間が長くなっています。

  • 初経年齢の低下・閉経年齢の上昇:月経がある期間が長くなっています。
  • 未婚・晩婚化・少子化:妊娠・出産経験が少ない、または初回出産年齢が高いことは、乳癌のリスクを高めることがわかっています(妊娠中は月経が止まるため、エストロゲンの曝露が減ります)。
  • 授乳期間の短縮:授乳もリスクを下げる要因ですが、これを行う期間や頻度が減っています。

食生活・生活習慣の欧米化

  • 肥満:特に「閉経後」の女性において、肥満は乳癌発症の確実なリスク因子とされています(脂肪組織からエストロゲンが作られるため)。
  • アルコール・喫煙:飲酒や喫煙も乳癌のリスクを確実に上げることがガイドラインで示されています。

検診の普及

これは悪いことではありませんが、マンモグラフィ検診などが普及したことで、「これまでは見つからなかったような非常に早期の癌(非浸潤癌など)」も発見されるようになり、統計上の「罹患数」を押し上げている側面があります。

4. なぜ、死亡率の増加が緩やかになり、一部で減り始めたのか?

かかる人が増えているにもかかわらず、死亡率の増加が落ち着いてきたり、若い世代で減り始めたりしているのには、明確な希望のある理由があります。

治療法の劇的な進歩

これが最も大きな要因です。
以前は選択肢が少なかった抗がん剤に加え、「分子標的薬(ハーセプチンなど)」や、より効果的な「ホルモン療法薬」が登場し、再発を防ぐ力や、進行した癌を抑える力が格段に向上しました。
欧米で死亡率が先に減少に転じたのも、これらの標準治療が日本より少し早く普及したためと考えられています。

早期発見(検診)の効果

検診によって、症状が出る前の「治りやすい段階」で癌を見つけられる人が増えました。早期に治療を開始できれば、それだけ生存率は高まります。

まとめ:私たちにできること

増減の要因を振り返ると、以下のことが言えます。

リスクの変化
女性の生き方の変化(少子化や晩婚化など)は社会的な流れであり、個人で変えるのは難しい部分ですが、「閉経後の肥満を防ぐ」「お酒やタバコを控える」といった生活習慣は、ご自身でコントロール可能なリスク対策になります。
死亡率改善の鍵
「適切な治療」と「早期発見」が命を救っています。

ぜひ、「定期的な検診」と、何かあった時の「早めの受診」をお願いしたいと思います。それが、ご自身を守る一番の近道です。

気になる症状がある方、検診をご希望の方はお気軽にご相談ください



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