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【医師解説】身内に乳がんがいると遺伝する?HBOC(遺伝性乳癌卵巣癌)の保険適用と検査のタイミング|みなと横浜ウイメンズクリニック

2026.02.09


「母や祖母が乳がんだから、私も心配…」という不安を抱える方は少なくありません。実は、乳がん全体の約5〜10%は、特定の遺伝子の変化が原因で発症する「遺伝性乳がん」であることがわかっています。

卵巣がんでは10~15%が同じ遺伝子の変化(変異)によるものです。これらをまとめて、HBOC(遺伝性乳癌卵巣癌)と呼びます。

今回は、2020年から拡大された「保険適用」の条件や、検査を受けるべきタイミングについて、最新のガイドラインに基づき解説します。

1. HBOCとは?BRCA1/2遺伝子の役割

私たちの体には、傷ついたDNAを修復してがん化を防ぐ「BRCA1」と「BRCA2」という遺伝子があります。この遺伝子に生まれつき変化があることで、乳がんや卵巣がんを発症しやすくなる体質を「HBOC」と呼びます。

かつてアンジェリーナ・ジョリーさんが、この検査結果を受けて将来のがん予防のために手術を選択したことで、世界的に認知が広がりました。

2. 【保存版】私は検査の対象?保険適用チェックリスト

2020年より、以下の条件に当てはまる乳がん患者さんは、BRCA遺伝子検査を保険診療(3割負担等)で受けることが可能です。

  • 発症年齢: 45歳以下で乳がんと診断された
  • がんの性質: 60歳以下で「トリプルネガティブ」タイプと診断された
  • 既往歴: 両方の胸に乳がんがある、または片方に2回以上発症した
  • 性別: 本人が男性乳がんである
  • 家族歴: 血縁(3親等以内)に乳がん・卵巣がん・膵がんの方がいる
  • その他: 本人が卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの既往がある

※現在乳がんを発症されていない方(家族のみがHBOCなど)は自費診療となりますが、リスク評価の相談は可能です。

3. どのタイミングで相談すべき?

「自分は対象かも」と思ったら、以下のタイミングで相談を検討してください。もしすでに診断がついているときに主治医に伝えていない家族歴などの情報がある場合は伝えてください。

  • 乳がんと診断された時: 術式(温存か全摘か)を決める重要な判断材料になります。
  • 再発・転移がわかった時: 特定の治療薬(PARP阻害薬※)が使えるかどうかの判断に必要です。

    ※PARP阻害薬(オラパリブ等)は、遺伝子変異があるがん細胞の増殖を抑える効果が期待される薬です。2023年の研究でも再発リスク減少への効果が確認されており、重要な治療選択肢となっています。
  • 健康だが家族歴が濃厚な時: リスクを知ることで、早期発見のための「オーダーメイドな検診プラン」を組むことが可能です。

4. よくある質問

Q. 遺伝子検査で陽性だったら、どのくらいのリスクがあるのですか?将来必ず乳がんになってしまうのでしょうか?

A. 確率は高まりますが、必ずなる(100%)わけではありません。
日本人のデータでは、BRCA1変異のある女性は生涯で乳がんのリスクが約72%、卵巣がんが約44%。BRCA2変異のある女性は乳がんが約69%、卵巣がんが約17%に達する可能性があるとされています。
大切なのは、リスクを事前に知ることで「集中的な検診」を受けたり「予防的治療」を検討したりといった、前向きな選択肢を持てることです。

Q. HBOCの検査を受ける場合、費用はどのくらいかかりますか?

A. 保険適用の3割負担の場合、約6万円前後です。
検査自体は保険診療の対象です。自費診療(健康な方のリスク検査など)の場合は、一般的に20万円前後となるのが一般的です。

5. 当院での受診の流れ

  1. 外来相談: 病歴や家族歴をお聞きし保険適用の有無を確認したのちに
  2. 紹介・精密検査: 遺伝カウンセリングの外来のある大学病院等へ紹介させていただきます。紹介先の遺伝カウンセリング外来ではさらに詳細にお話をお伺いしたのちに採血をおこない、結果に基づき、今後の最適な治療・検診プランをご提案します。
  3. 結果報告: 結果に基づき、今後の最適なプランをご提案します。

まとめ:一人で悩まず専門医へ

遺伝性乳がんは、正しく知ることで「適切な予防」や「自分に合った治療法」を選択できる前向きな情報です。まずは一度、外来で不安な気持ちをお聞かせください。

*乳がんの治療中の方は主治医にご相談下さい。


【参考文献・資料】
日本乳癌学会「乳癌診療ガイドライン2022年版」 / 日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JHBOC)「HBOC診療ガイドライン2021」

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