胸はなぜ垂れるのか
2023.06.26
病気ではありませんが乳房がなぜ下垂してしまうのか解説します。
乳房が下垂する主な原因は、クーパー靭帯の伸びや損傷、加齢による乳腺の変化、そして皮膚の弾力性の低下です。複数の研究や論文でこれらの要因が指摘されています。
主要な原因
1. クーパー靭帯の伸びと損傷
乳房は、クーパー靭帯というコラーゲン維でできた網目状の組織によって、胸の筋肉(大胸筋)から皮膚まで吊り下げられて支えられています。超音波検査でもクーパー靭帯を見ることができます。この靭帯は、強い揺れや物理的な刺激、そして重力の影響を長期間受けることで、徐々に伸びてしまいます。一度伸びてしまったクーパー靭帯は、元に戻すことが非常に難しいとされています。
2. 加齢による乳腺の変化と皮膚の弾力性低下
年齢を重ねると、女性ホルモンであるエストロゲンの減少により、乳腺組織が萎縮し、代わりに脂肪組織の割合が増加します。脂肪は乳腺に比べて柔らかいため、乳房全体のハリがなくなり、下垂しやすくなります。同時に、皮膚の弾力性も低下するため、乳房を支える力が弱まります。
3. 体重の増減と授乳
急激な体重の増加や減少は、乳房の皮膚を伸ばす原因となります。特に、妊娠・出産・授乳を経て乳房が一度大きくなり、その後に縮小する際、皮膚が余ってたるむことが、下垂の大きな原因の一つです。
その他の影響要因
- 喫煙: 喫煙は皮膚のコラーゲンとエラスチンを破壊するため、乳房の弾力性を低下させ、下垂のリスクを高めるとする研究があります。
- 高BMI(肥満): 体重が多いと乳房にかかる重力の影響が大きくなり、下垂しやすくなります。
- 物理的な揺れ: 運動時の揺れはクーパー靭帯に大きな負担をかけるため、適切なサイズのスポーツブラジャーを着用することが予防に重要です。
これらの要因は単独でなく、複合的に作用して乳房の下垂を引き起こします。
予防には、適切なブラジャーの着用、急激な体重変化を避けること、そして禁煙や適度な運動といった健康的な生活習慣が大切です。