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ミレーナとは

2025.09.08

ミレーナとは

ミレーナ」とは、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を子宮の中で持続的に放出する、T字型の小さな医療器具です。本来は避妊を目的として開発されましたが、過多月経月経困難症の治療にも効果があることから、広く使われるようになりました。

過多月経とは

過多月経」とは、月経時の出血量が異常に多い状態を指します。具体的には、以下のような状態が目安となります。

  • 昼間でも夜用のナプキンを使って、それでも間に合わない
  • ナプキンを1時間おきなど、頻繁に変える必要がある
  • 経血にレバー状の大きな血の塊が混じる

過多月経は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、出血量が多い状態が続くことで貧血(鉄欠乏性貧血)を引き起こし、めまいやだるさ、動悸、息切れなどの症状につながることもあります。原因として、子宮筋腫子宮腺筋症といった病気が隠れていて治療が必要なことがあるため、自己判断せずに婦人科を受診することが重要です。

 

月経困難症とは

月経困難症とは、月経期間中に、日常生活に支障が出るほどのつらい症状が続く状態をいいます。一般的に「ひどい生理痛」と呼ばれるもので、下腹部痛や腰痛が主症状ですが、以下のような様々な症状が伴うことがあります。

  • 身体的な症状:
    • 強い下腹部痛、腰痛
    • 吐き気、嘔吐
    • 頭痛
    • 疲労、だるさ
    • お腹の張り、下痢
  • 精神的な症状:
    • イライラ
    • 気分の落ち込み、憂鬱

月経困難症には、原因となる病気がない「機能性月経困難症」と、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症などの病気が原因となっている「器質性月経困難症」があります。

ミレーナが過多月経・月経困難症に効果がある理由

ミレーナを子宮内に装着すると、T字型の器具から少しずつ黄体ホルモンが放出されます。このホルモンが子宮内膜に直接作用して、子宮内膜が厚くなるのを抑えるため、経血量が大幅に減少し、痛みが軽減されます。

  • 経血量の減少: 子宮内膜が薄くなることで、月経の出血量が少なくなり、過多月経の症状が改善されます。
  • 生理痛の軽減: 月経痛の原因となる物質(プロスタグランジン)の分泌が抑えられ、経血量も減るため、痛みが軽くなります。
  • 長期的な効果: 一度装着すると、最長5年間効果が持続します。

ミレーナのメリットとデメリット

メリット

  • 高い治療効果: 過多月経や月経困難症の症状を大幅に改善する効果が期待できます。
  • 長期の持続性: 一度の装着で最長5年間効果が持続するため、ピルのように毎日服用する手間がありません。
  • 保険適用: 医師によって月経困難症や過多月経と診断された場合、健康保険が適用されるため、費用負担が軽減されます。
  • 全身への影響が少ない: ホルモンの作用が主に子宮内に限定されるため、ピルに比べて全身的な副作用(吐き気や体重増加など)のリスクが低いとされています。

デメリット

  • 挿入時の痛み: 挿入時に痛みや不快感を感じることがあります。
  • 不正出血: 装着後の数ヶ月間は、少量の不正出血が続くことがあります。
  • 自然脱落: まれに、子宮から自然に抜け落ちてしまうことがあります。
  • 非常に稀ですが、骨盤内炎症疾患、異所性妊娠、子宮穿孔のリスクもありますので、挿入前や挿入中は定期的に診察が必要になります。

過多月経や月経困難症の症状が重く、日常生活に支障が出ている場合は、我慢せずに婦人科を受診して相談してみましょう。ミレーナ以外にも様々な治療法があるため、ご自身の症状やライフスタイルに合った選択肢を医師と話し合って見つけることが大切です。