「乳がんの予防に良い食べ物はありますか?」
「お酒や脂肪分の多い食事はやっぱり良くないのでしょうか?」
患者様よりいただくことのある食事と乳がんに関するご質問。
今回は日本の「乳癌診療ガイドライン(2022年版)」を基に、食事と乳がんリスクの関係について解説します。
最初に知っておいてほしいこと
食事は「これだけ食べていれば安心」という魔法のようなものはありません。しかし、毎日の積み重ねがリスクを上げたり、逆に下げたりする可能性があることが分かってきています。
ガイドラインでは、研究結果の信頼度に合わせて、以下のように分類されています。
- 確実:ほぼ間違いなく関係がある
- 可能性あり:関係がある可能性が高い
これらを踏まえて、毎日の食事で意識したいポイントをご紹介します。
1. 気をつけたいこと(リスクを上げる可能性があるもの)
🍺 アルコール(お酒)
残念ながら、飲酒は乳がんのリスクを高めることが「確実」とされています。
これは量が増えるほどリスクが上がります。
禁酒がベストですが、楽しむ場合は「適量」を心がけましょう。
🍔 飽和脂肪酸(脂っこい食事)
肉の脂身やバター、生クリームなどに多く含まれる「飽和脂肪酸」。これらを多く摂る人は、乳がんリスクが高くなる可能性があります。
- お肉は脂身の少ない部位を選ぶ(ヒレ、鶏むね肉など)
- 調理油をオリーブオイルなどに変える
- 揚げ物や洋菓子は「ご褒美」にして、頻度を控える
🍩 肥満と体重増加
食事そのものではありませんが、食事の結果としての「体重」も重要です。
特に閉経後の肥満は、乳がんリスクを確実に高めます。また、成人してからの大幅な体重増加もリスク要因となります。
BMI(体格指数)を適正範囲に保つことが、最も有効な予防策の一つです。
2. おすすめしたいこと(リスクを下げる可能性があるもの)
🥬 野菜と果物
野菜や果物を多く食べることは、乳がんリスクを下げる可能性があります。
ビタミンや食物繊維も豊富なので、毎食「片手一杯分」の野菜を意識してみましょう。色とりどりの野菜をバランスよく食べるのがポイントです。
🥢 大豆・イソフラボン
「豆乳や豆腐は乳がんのリスクになるのでは?」と心配されることがありますが、ガイドラインではむしろ「リスクを下げる可能性がある」とされています(特に日本人を含むアジア人の研究において)。
豆腐、納豆、味噌汁など、日本の伝統的な食事を大切にしましょう。
🐟 魚(n-3系脂肪酸)
魚に含まれる良質な脂(EPAやDHAなど)は、リスクを下げる可能性があります。
週に数回は、肉料理の代わりに魚料理を取り入れてみましょう。
3. よくある質問
🥛 乳製品は?
今のところ、乳製品が乳がんリスクを上げる、または下げるという明確な結論は出ていません。カルシウム源として大切ですので、極端に避けたり過剰に摂ったりせず、常識的な範囲で摂取しましょう。
🍵 緑茶は?
がん予防に良いと言われる緑茶ですが、乳がんに関しては「リスクを下げる」という明確な証拠までは揃っていません。
まとめ:
ガイドラインから見えてくる「乳がん予防のための食生活」は、実はとてもシンプルです。
- お酒はほどほどに
- 脂っこい食事を控え、野菜・果物・大豆製品・魚を積極的に
- 太りすぎないように体重をコントロール
特別な健康食品を探すよりも、「バランスの良い和食」をベースにすることが、結果的に一番の予防につながると言えそうです。
食事は毎日の楽しみでもあります。「あれもダメ、これもダメ」とストレスを溜めるのではなく、できることから少しずつ、健康的な習慣を取り入れていきましょう。
※この記事は「乳癌診療ガイドライン2022年版(日本乳癌学会)」の疫学・予防の記述を参考に作成しています。個別の病状や治療中の食事制限については、必ず主治医の指示に従ってください。
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