乳がん検診は2年に1回のマンモグラフィで十分でしょうか?
乳がん検診の最適な頻度は?
~早期発見のために知っておきたいこと~
前回の記事でお話したように、国が推奨する「対策型検診」(公費の住民検診)と、個人の利益を考える「任意型検診」(人間ドックなど)では、推奨される乳がん検診の頻度や検査の内容が異なります。
どのような頻度で検査を行うかは個人の判断によりますが、ご自身の体を守るために、以下の情報を参考にしていただけたら幸いです。
①早期乳がんは2cmまで。がんの大きくなるスピードを考える。
一般的な乳がんが1cmの大きさになるまでには約7~8年かかります。しかし、1cmを超えると急速に増大し、わずか1~2年で2cmの大きさになると考えられています。「早期乳がん」は2cmまでのしこりと定義されており、しこりが2cmに成長する前に発見することが非常に重要です。
自分で触ってわかるしこりの大きさは1cmからと言われますが、実際には2~3cmになってから気づく方が多いのが現状です。定期的な自己触診と、触ってもわからない小さながんを発見するための画像検査(マンモグラフィ・超音波検査)が不可欠です。
マンモグラフィは乳がんの兆候である「石灰化」の発見に優れていますが、1cm以下のしこりは見つけられないことも少なくありません。もし1cmのしこりが見過ごされた場合、2年後の検診では2cmを超え、早期乳がんでなくなってしまう可能性があります。だからこそ、2年を待たずに検診を受けることをおすすめします。
②早期発見の確率をあげるためには?
〇 月に1回の自己触診
画像検査の間のセルフチェックとして、月に1回の自己触診を習慣にしましょう。変化に気づいたら、次の検診を待たずにすぐに乳腺外科を受診してください。触ってわかる大きさの乳がんは、急速に増大する可能性が高いです。
〇 35歳以上は年1回、超音波とマンモグラフィの併用を
特に日本人女性に多い「高濃度乳腺」の場合、マンモグラフィでは乳腺が白く写り、しこりが隠れて見えないことがあります。実際、乳がんの中にはマンモグラフィにしか写らないタイプ、超音波にしか写らないタイプがそれぞれ2~3割存在します。マンモグラフィと超音波検査を併用することで、乳がんの発見率は1.5倍になることがわかっています。
もし超音波でしか見つからないタイプのがんだった場合、2年に1回のマンモグラフィ検診だけでは発見が遅れ、ご自身でしこりに気づく頃には早期がんでなくなっている可能性があります。1cm以下のしこりの発見は超音波検査のほうが得意なため、両方の検査を年に1回受けることが、早期発見の鍵となります。
〇 遺伝性の乳がんが疑われる場合
乳がんの5~10%は遺伝性と考えられています。血縁者に若くして乳がんになった方や、卵巣がんになった方がいる場合は、専門の施設での遺伝子検査などが必要になることがあります。該当する場合、検診のペースや内容が通常とは異なりますので、まずは乳腺専門医にご相談ください。当院でもご相談を承っております。
早期発見が、未来の選択肢を広げます
がんは、見つけるのが早ければ早いほど良いのは言うまでもありません。それは、治療後の経過が良いだけでなく、ご自身の人生設計にも大きく関わってくるからです。
治療と大切な人生の予定を両立させるためには、長期的なプランが必要です。がんを少しでも早期に発見できれば、心と時間の「猶予」が生まれ、ご自身のライフプランに合わせた治療計画を立てやすくなります。
この記事が、あなたご自身の健康と未来を考える一助となれば幸いです。
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