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乳がん検診は2年に1のマンモグラフィで十分でしょうか?

2024.04.21

前回の記事でお話したように検診を受診する頻度として国が推奨する対策型検診(公費で行われる住民検診・2年に1回 マンモグラフィ)と個人の利益を考える任意型検診(人間ドックなどご自身でご自身の状態に合わせて計画をたてる検査)では推奨される乳がん検診の頻度や検査の内容が異なります。

どのような頻度にそって検査を行うかは個人の判断によりますが、以下を参考にしていただけたら幸いです。

①早期乳がんは2cmまで。がんの大きくなるスピードを考える。

一般的な乳がんの成長するスピードは1cmまで7-8年、1cmを超えると急速に増大していき1-2年の間に2cmの大きさになります。早期乳がんは2cmまでのしこりと定義されておりしこりが2cmに成長する前に発見することが重要です。

自分で触ってわかる大きさは1cmからといわれていますが実際には2-3cmで気づく方が多く、定期的な自己触診を行うと同時に触診でわからない大きさのものを検出するためには画像検査(マンモグラフィ・超音波検査)が必要です。

マンモグラフィは乳がんに兆候である石灰化の描出に優れていますが、1cm以下のしこりは描出できないことも多く、仮に1cmのしこりがあったとして上に述べたように成長速度を考えるとその1cmのしこりは2年たつと2cmを超えてしまい早期乳がんではなくなってしまします。早期乳がんのサイズで検出するためには2年待たずに検診をうけることを推奨します。

②早期乳がんのうちに発見する確率をあげる。

〇自己触診

画像検査(超音波・マンモグラフィ)も被曝や経済的な負担もあり毎月おこなうわけにもいきません。画像診断を行わない間は定期的に(月に1回)自己触診を行いチェックしましょう。変化に気がついたらすぐに受診をしましょう。触診でわかるような大きさの乳がんは急速に増大していく可能性が高いため、次の検診まで待たずに乳腺専門医の在籍する乳腺外科を受診しましょう。

〇35歳以上では1年に1回の超音波とマンモグラフィでの乳がん検診を推奨します。

特に日本人女性におおい「高濃度乳腺」のタイプの方のしこりはマンモグラフィでは写らないことが一定数あり、乳がんのうち、マンモグラフィにしか写らないタイプの乳がん、超音波検査にしか写らないタイプの乳がんは2-3割存在します。マンモグラフィ単独よりも超音波を併用した方が乳がんの発見率は1.5倍になるとわかっています。

仮に超音波にしか写らないタイプの乳がんのかたが2年に一度のマンモグラフィでの住民検診を行っていったとします。どんなに読影(画像診断)技術がすぐれていても写らないものは写らないので乳がんは気づかれず成長してしまい次に2年経ったころに大きくなって初めてマンモグラフィに写って見つかったり、2年たっても写らなくてご自身でしこりを触れる大きさになってから初めて気づく方もいらっしゃします。そのときには2cm以上となって早期乳がんではなくなっていることもあります。

また、上に述べたように1cm以下のしこりはマンモグラフィに写らないこともおおく、しこりの検出には超音波検査の方が優れています。そのため、急速に大きくなる1cmから2cmの大きさになる前に見つけるには超音波検査とマンモグラフィ検査の併用を推奨します。

〇遺伝性の乳がんが疑われる場合は検診のペースや内容が異なります。

乳がんの5-10%は遺伝性と考えられています。現在明らかになっている中で最も多いのが遺伝性乳がん卵巣がん症候群です。若くして乳がんを発症したり、両側乳がんや卵巣がんを発症しやすいという特徴があります。若年乳がんの既往歴のある方が血縁にいらっしゃる場合や卵巣がんの既往歴のある方等は、遺伝子の検査を含め専門の施設にご紹介が必要となる場合があり、検査でその遺伝子(BRCA遺伝子といいます)が検出された場合、検診の内容やペースが異なります。ご心配な方は乳腺専門医にご相談下さい。当院でもご相談を承っております。

 

がんがあるのであれば見つけるのは早いに越したことはありません。早期治療と予後の改善に結びつくことももちろんですが、検診を受診される方にはそれぞれの人生設計や都合があり、治療の他にもやらなければならないことがたくさんあります。治療だけに専念できればよいですが、人生の大切な予定と治療を共存させていくには長期的なプランが必要で、がんが発生したとしても少しでも早期に発見できていたのであれば、猶予ができます。それは予後のよいがんだからともいえます。

以上、参考にしていただけたら幸いです。

※2024年4月より横浜市・自費乳がん検診の方を対象に3Dマンモグラフィ追加無料キャンペーンを行っています。3Dマンモグラフィは精細な画像の描出が可能で通常の2Dマンモグラフィよりも精度の高い画像が描出可能です(通常のマンモグラフィにでは描出出来ないがんを描出できることがあります)ご興味のある方はこの機会にご受診ください。