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アロマターゼ阻害薬と骨粗鬆症について

2024.02.07

①アロマターゼ阻害薬とは

 

 

ホルモン受容体陽性タイプ(ER陽性 PgR陽性)の乳がんはホルモンによってがん細胞が増殖するため、ホルモンの働きを抑制するホルモン療法が選択されます。
その中で使われる薬の一つであるアロマターゼ阻害薬(アナストロゾール・レトロゾール・エキセメスタン)は、閉経後の乳がんに用いられるホルモン療法の一つです。

② (閉経前後の女性ホルモン(エストロゲン)の作られる場所の変化)

 

エストロゲンの作られる場所は閉経前では主に卵巣ですが 閉経後は卵巣機能が低下し女性ホルモンの産生が低下します。
その代わりに副腎からアンドロゲンというホルモンが分泌されアロマターゼという酵素のはたらきによってエストロゲンが作られます。よってエストロゲンの働きをおさえるために閉経後の乳がんの場合はアロマターゼを抑制することによりエストロゲンの産生を抑制する薬が使われます。

③ アロマターゼ阻害薬の副作用と骨粗鬆症

 

 

アロマターゼ阻害薬の副作用として、更年期障害に似た症状が起こることがあります。

・ほてりや多汗
・骨粗鬆症

・関節痛
・脂質代謝異常
・心血管系への影響

 

などが副作用として挙げられますが中でも特徴的であり注意をするべきものが骨粗鬆症です。エストロゲン(女性ホルモン)には骨の量を保つ働きがあるため一般的に閉経後の女性は骨がもろくなったり(骨粗鬆症)骨折をしたりするリスクが上がります。
ホルモン療法に使用される薬の中でもアロマターゼ阻害薬には骨が弱くなる傾向があります。アロマターゼ阻害薬を内服している場合は骨の検査を定期的に行い、骨折のリスクが見られる場合は内服薬(骨吸収抑制薬)が処方されます。

 

④ アロマターゼ阻害薬を内服している場合に気をつけたいこと

 

・治療前・治療開始後も骨密度を定期的に測定しましょう。年に1度は骨密度の測定をしましょう。
・痛みや関節のこわばりを感じたときには主治医にご相談ください。
・日頃より骨粗鬆症を防ぐためにカルシウムやビタミンD/ビタミンKの摂取を心がけるとともに適度に体を動かしましょう。